京都に引っ越しました
イギリスから京都へ.
千年の都と言われる京都に移住することを決めました.
9月にイギリスでの修士生活を終え,日本に帰国しました.
本当は博士課程に進みたいという希望はあるのですが,経済的にそれは難しいとわかっていたので,修士を出たら働くということは前から決めていました.将来,経済的に余裕ができたら,またチャレンジしたいなあと考えています.
もう一つ,修士を出たら実家には戻らずそのまま一人暮らしをするということも前から決めていました.なので,イギリス生活の終わり頃から少しずつ次はどこに住もうかと調べ始めました.
最初は色々な候補がありました.そのままイギリスで働こうか,エストニアが熱いらしいからそこに行ってみようか,故郷の東京に帰ろうか,はたまた日本の別の地方に行こうか,など色々と考えてみました.
そんな中で,考えていても仕方がないから一度どこかに短期滞在してみようと思い立ち,Airbnbで京都の一部屋を10月いっぱい借りて先月過ごしました.実は京都は
前から行きたいと思っていた土地の一つでした.
その理由は自分は日本について何も知らないと感じたこと.
私は東京で生まれ,東京で育ち,そしてイギリスに渡りました.幸いにイギリスでは日本好きの友達もたくさんでき,来日経験がある人もかなりいました.そうした人に日本のどこに行ったのかを尋ねると大抵こんな答えが帰ってくるのです.
「東京,京都はもちろん行ったし,広島,山口も行ったぜ」
「西の方に住んでいたから,大阪,京都,福岡,香川,もちろん東京にも行ったよ」
「色々回って,東京,京都,宮島,鹿児島,札幌とか行った」
こういう人達と話して私は毎回こう思うのです.
「この人達,絶対俺より日本詳しくね?」
さらに,イギリス生活を通して,文化や習慣は全く違うということも感じましたし,改めて日本を外側から見て,その良さや問題点も見えてきました.しかし,私の経験してきた日本というのは,9割9分東京の話です.東京の人口は.この前1300万人を超えたそうですが,それは裏を返せば.1億1700万人は別の視点から日本を見ているということです.
イギリス大学院での留学生入学式での学長の話で今でも覚えている話があります.それはスピーチ冒頭でした,私流に訳すとこんな感じ.
諸君入学おめでとう.我々はあなた方を歓迎し,必要としています.大学とは知恵を育み,課題を解決するためにある.そして,今日の世界に存在する課題を解決するには多様な視座が不可欠だ.そのために我々は異なる視座を持った諸君らのような学生を必要としている.
このスピーチを聞いた時に,この大学院に来てよかったなと強く感じました.日本の大学の就職予備校のような雰囲気に辟易していたからです(もちろん就職予備校には就職予備校の意義があります).そんな私には,この言葉は救いにもなりました.それと同時に,多様な視座の重要性を感じました.
私は東京人としての視座を持っています.その視点で他の日本を見てみたい.また,そうした経験は私の中で新たな視座になっていくはず.
こうした想いから,だんだんと日本の東京以外に住んでみようという考えが強くなりました.
そこで京都に行きたかったのです.安直かもしれませんが,日本の歴史を振り返れば近代以前の中心は京都でした.そこでは豊かな文化が育まれています.さらに最近では文化庁の京都移転も決まったようです.そうした背景もあって京都にずっと行きたかった.
そして先ほどの1ヶ月の京都滞在を敢行しました.振り返ってみれば,本当に良かったです.朝起きて京都を囲む山が霞みがかっているのを見て,山紫水明ってこういうことか!と思ったり,お寺にある石造りの水桶を見て明鏡止水だなあと思ったり,小倉山に行き,ここであの百人一首が読まれたのかと感じたり.本当に勉強になる1ヶ月でした.そして,もっとこの京都という土地で学びたいと思ったのです.
もちろん,家賃が東京に比べるとずっと安かったり徒歩圏にほとんどのものが揃う快適さなど生活の利便性もありますが,それはまた別の記事でじっくり.
長々と書いてきましたが,一言で言えば京都に惚れたということです.
これから少なくとも2年(物件の契約期間)は京都で過ごします.これからの京都ライフがとても楽しみです.